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おにぎり型から発光タイプまで。「国道」のレア標識

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第10回:国道標識にもレアがある

 レアな国道標識

 ということで、国道は現在459路線あるのだが、このうちレア標識といえるものはどれくらいあるだろうか。実は、全ての路線に国道標識があるわけではない。たとえば圏央道や東海環状自動車道などは、東名高速などと同様の高速道路に見えるけれど、法律上は一般国道という区分に入っており、それぞれ国道468号、475号という番号が振られている。だが、これら高速風の国道には、どこを探してもおにぎり型の国道標識は設置されていない。

 では、いわゆる「したみち」の国道にはすべて国道標識があるのかというと、実は一枚もない路線が存在する。筆者の知る限りでは、国道130号(東京都港区)、131号(東京都大田区)、172号(大阪府大阪市)には、正規の国道標識が一枚も設置されていない。

写真を拡大 大阪港へ向かう国道172号には、正規の標識は一枚もない

 

 これらは、いずれも「主要な港及び空港と、幹線国道を結ぶ道は国道とする」という規定によってできた道で、「港国道」と通称される。港国道は全国に15路線あり、いずれも数キロ程度の長さに過ぎない。前述の国道130号など、全長わずか480メートルほどしかないミニ国道だ。

 だが、日本最短の国道174号(兵庫県神戸市)は、全長187メートルしかないにもかかわらず、きちんと国道標識が2枚設置されている。京都府舞鶴市を走る国道177号、山口県岩国市の国道189号、福岡県北九州市の国道198号なども1キロメートルに満たない短距離路線で、いずれも設置数は2~3枚だ。このあたりが国道標識のレア物件ということになるだろう。

写真を拡大 日本最短の国道174号

 

 港国道以外にレア標識はないのかというと、国道474号というラスボス的存在がいる。この道は、長野県飯田市から静岡県浜松市を結ぶ予定なのだが、現在のところごく一部しか開通していない。全部開通する日が来るのかどうか甚だ怪しい気もするが、まあそれはおいておく。

 その474号の一部である「飯喬道路」と呼ばれる区間に、問題の国道標識が設置されている( ※Wikipediaリンク に写真がある)。

 しかしこれがかなりの山奥にあり、太平洋側からだと120キロほども山道を駆け上がらねばならない。国道標識コレクターの前に立ちはだかる、難攻不落の要塞の如き標識なのである。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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